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「中立善の性格」についてざっくりまとめてみました

木彫りのノームのイラスト

Conscience! Conscience! Instinct divin, immortelle et céleste voix.
(良心よ!人間の本能に刻まれた美しい良心よ!不滅の、人々を導く尊き良心よ!)

ジャン=ジャック・ルソー『エミール』(1762)

Mitleid ist die Basis der Moral.
(価値のある善行は、他者の痛みを自分の痛みのように感じる共感力から生まれる)

アルトゥル・ショーペンハウア『道徳の基礎について』(1840)

一言で言うとこんな性格

ルールより心、形式より実質を選ぶ善良な実用主義者

法律や伝統に縛られず、その場で最善の結果を生む行動を選択します。

秩序を尊重はするけど盲従はしない、自由を愛するけど無秩序は避ける……
そんな絶妙なバランス感覚の持ち主ですね。

物語で輝く3つの魅力

寛容

中立善は全アライメントの中でも最も寛容なんですよ。
秩序派の厳格さも、混沌派の自由奔放さも理解できる。
行動が他者を思いやっての行動であれば、それを正しく評価できる人物です。

物語では、互いの意見が衝突したときに、うまくまとめ上げられるリーダーとして輝きます。

結果志向の決断力

「正しいプロセス」より「良い結果」を優先する。
物語では実行力のある善人として描けるんですよね。
困った人を助ける、これ以上も以下もない、真の「困った人を助けるヒーロー」といったポジションです。

主人公があこがれる先輩にピッタリのアライメントですね。

実用的な共感力

感情移入はするけど、感情に流されない。
これが中立善の絶妙なラインです……。

相手の痛みを理解しながらも、最良の結果のために時には厳しい選択もする
物語では「優しいけど甘くない人物」という魅力的な存在になります。

このタイプの葛藤ポイント

結果主義の落とし穴

これが最も危険な弱点です。
「良い結果のためなら手段を選ばない」が「目的は手段を正当化する」に転落するリスク。

いわゆるコラテラルダメージで仲間が大怪我を負った……となればかなりショックを受けるでしょう、「善」属性ですからね。
それが行き過ぎて「痛みなくしては成功はできない」なんて言い出したら……
すてきなヴィランの完成、となってしまいます。

原則の欠如

柔軟性って長所ですけど、本人は苦しみがちなんですよ……。
「何のために戦っているのか」が曖昧になる瞬間があります。

状況判断を重視しすぎて、自分の信念を見失う。
物語では「君は一体何を信じているんだ?」という問いかけで、このタイプを追い詰められます。

こういう時、「秩序」であれば国のためや神のため、「悪」であれば自分のため……と明確な答えを持っているので、いくぶんか気が楽なんですよ。

キャラクター設定のアイデア集

物語で活躍させる職業アイデア

改革派の治癒師

伝統的な医療体系には属しているけど、患者のために時にはルールを曲げる
「魔法医療協会の掟では認められない治療法だが、この子を救うには……」という葛藤。
物語では、規則と人命の間で揺れる姿を通して、このタイプの本質が描けますね。

独立系ハンター(賞金稼ぎ)

正直、これが一番物語を動かしやすい。
法の執行者ではないけど、悪を退治することで結果的に秩序に貢献する
依頼は選ぶし、時には法を破っても正義を貫く。
「 俺は警察じゃない。でも、放っておけない」という台詞が似合います。

流浪の守護者

まぁ、ファンタジーの定番ですが。
特定の領主や国家に仕えず、困っている人がいれば助けるという単純明快な行動原理。
「旅の剣士」「放浪の魔術師」「流れの僧侶」など。
物語では、様々な土地で小さな善を積み重ねる姿が、読者の共感を呼びます。

このタイプを象徴するもの

イルカ

知性と優しさの象徴……まぁ、ありきたりかもしれませんが。
社会性がありながらも自由を愛するという二面性が、中立善そのものです。

海洋ファンタジーでの守り神、SF作品での知的種族のモチーフとして活用できます。
「群れで泳ぐけど、誰かの命令で動くわけじゃない」という性質が重要。

柳(ヤナギ)

柔軟に風になびくけど、決して折れない
状況に適応する中立善の柔軟性を、視覚的に表現できます。

キャラクターの紋章や、転換点となる場所(柳の下での誓いなど)に使えますね。

対立する両岸を繋ぐ存在として、中立善の役割そのもの。

物語では、異なる世界や価値観を結ぶ場所として機能します。
「橋渡し役」という言葉通り、キャラクターの立ち位置を象徴できますね。

穏やかな風

強制せず、でも確実に方向を変える力
嵐のような破壊でもなく、無風の停滞でもない。
中立善の「押し付けず、でも導く」という姿勢を表現できます。

物語では、騒動がひと段落して外に出たときに感じる穏やかな風、その優しさと強さを描けますね。

エメラルドグリーン

成長、癒し、バランス——善意でありながら柔軟性を持つ、このタイプの本質を表現できます。
森の賢者、治癒師、調停者……形式より実質を選ぶ善人に似合う色ですね。

アンバー(柔らかいオレンジ)

温もりと実用性の両立。秩序善の冷たさとも混沌善の激しさとも違う、穏やかな善意を色で示せます。
夕陽、暖炉の火、琥珀……人を安心させる暖色系が、このタイプの共感力を象徴します。

このタイプのキャラクターが輝く瞬間

対立する勢力の板挟みになった時が最高に輝くんですよ。
秩序派と混沌派が一触即発の状況で、「待て、まだ別の道がある」と第三の選択肢を示す。
誰も思いつかなかった解決策で、敵対する両者を救う
これが中立善の真骨頂ですね。

あとは、ルールを破って人を救う決断をする瞬間
「規則では助けられない」と諦める周囲を横目に、「俺が責任を取る」と一歩踏み出す。
法や伝統より人命を選ぶ……そのシーンは、多くの人の心を掴みます。

それから、このタイプの共感力を押し出して敵の論理を理解し、それでも戦う理由を語る場面なんてどうでしょう。
「お前の言い分は分かる。でも、それでも俺はこっちを選ぶ」という台詞。
相手を否定せず、でも妥協もしない……この絶妙な立ち位置が、キャラクターの深みを生みますね。

キャラクターを成長させる衝突と試練

このタイプが対立しやすい相手

まず、秩序善タイプとは確実に衝突します
「ルールを守れ」と言われても、「でも、それじゃ救えない人がいる」と反論する。
秩序善からすれば「秩序を乱す危険分子」、中立善からすれば「硬直した原理主義者」。
……お互い誰かを助けたい、その気持ちがあるのに衝突してしまいます……。

そして……また善のアライメントですが、混沌善タイプとも意見が合わないことが多いんですよ。
「自由のために戦う」という点では一致するけど、「安心できる空間を守るためには法律も必要」という主張で亀裂が入る。
混沌善が「全てを破壊して作り直せ」と言うのに対し、「いい部分は残していこう」と提案する。
まぁ、革命家と改革者の違いですね……。

そして、最も深刻なのが中立悪タイプとの対立です。
「善悪より実利」という価値観に、どう立ち向かうか。
相手も状況判断型だからこそ、鏡像のような存在として互いを映し出す
「お前と俺、何が違う?」という問いかけに、明確な答えを出せるか……これが最大の試練になりますね。

プレッシャーを受けた時の行動パターン

普段は冷静に状況を分析するタイプなんですが……追い詰められると判断を急ぎすぎるんですよ。
「今すぐ決めなければ」というプレッシャーで、軽率な行動をしてしまう。
結果重視が裏目に出て、かえって悪い結果を招く。
焦りが最大の敵なんですよね……。

それから、ストレスが高まると孤立を選びがちになります。
「誰も理解してくれない」「自分一人で全て解決してしまおう」という思考に陥る。
本来なら柔軟に協力を求められるのに、プレッシャー下では頑なに一人で抱え込む。
周りを助けようとして、周りに助けてと言えなくなっていく……。

さらに厄介なのが、極端な方向に振れる傾向です。
普段はバランスを取るのに、追い詰められると「もう全部ルール通りにしよう」か「もう全部無視しよう」の二択思考になる。
中立というポジションが曖昧に感じられて、明確な立場を求めてしまう。
秩序や混沌の持つ強い軸がないからこその苦しみですね……。

転換点となる時間と場所

抽象的になりますが境界線上にいる時ですね。
国境、川の中州、山の峠……物理的な境界が、内面の転換を象徴します。
「ここから先に進むのか、引き返すのか」という選択の場所で、キャラクターは自分の信念を問い直す。
夕暮れ時の国境線とか、雰囲気出ますよね……。

それから、誰もいない静かな場所も効果的です。
いつも「誰かのために」判断しているこのタイプが、一人きりで自分自身と向き合う。
廃墟、森の奥、無人の教会……。
「誰かのためでもなく、自分のために、何を選ぶ?」という問いかけが、本質を浮き彫りにします。

あとは、雨上がりの朝なんかも良いんですよ。
嵐(混乱)が過ぎ去り、新しい一日(平穏)が始まる。
その境界線で、キャラクターは新しい決意を固める。
「昨日までの自分」と「これからの自分」の転換点として、視覚的にも美しく描けますね。

あなたの物語を紡ぐために

弱さも個性も、すべてが物語の素材

正直言って、完璧な善人なんて物語として面白くないんですよ。
中立善の「原則がない」という弱点も、「孤立しやすい」という性質も、全部が物語を豊かにする要素です。
ルールを破る決断に悩み、仲間から誤解され、それでも信じた道を進む……。
その葛藤があるからこそ、読者は共感するんですよね。

いや、むしろ弱さを隠さないキャラクターこそ魅力的なんです。
「俺にも分からない」「正しいかどうか自信がない」と認めながら、それでも行動する姿。
完璧じゃないからこそ、人間らしい。
そういうキャラクターを、自信を持って描いてください。

物語を紡ぐことで見えてくるもの

中立善を書いていると……不思議なことに自分自身の価値観が見えてくるんですよ。
「ルールと人情、どちらを選ぶ?」という問いは、実は書き手自身への問いかけでもある。
キャラクターの葛藤を通して、自分が何を大切にしているか気づく。
これが創作の醍醐味ですね……。

それに、このタイプを描くことで「善」の多様性が見えてきます。
正義の形は一つじゃない、善人のあり方も様々だ、と。
読者にとっても、「自分なりの善を探す」きっかけになるかもしれません。
物語って、そういう気づきを与えるものだと思うんですよね。

さあ、あなたの物語を始めよう

ルールに縛られず、でも混沌にも染まらない。
誰かが決めた正義じゃなく、自分の心で選んだ善を貫く
それが中立善の生き方です。

えぇ、時には孤立するでしょう。
「どっちつかず」と非難されることもある。
でも、誰も思いつかなかった第三の道を見つける……それがあなたの才能なんですよ。

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