次は来週

ロザリンさんの返事は、前回と同じだった。
手元の紙を一枚戻す。
前回も同じ。もう一枚戻して、その前も確かめた。
同じところを訊いて、同じように答えが返ってくる。少し順序を入れ替えても同じだった。

「もう一度、こちらを見てください」
「うん」

ロザリンさんが顔を上げる。

見せてもらうところを確認する。以前と比べる。特に変わったところはない。

「反対も」
「こう?」
「はい。そのままで」

しばらく見てから、もうよいと伝えた。

ロザリンさんが姿勢を戻す。

「今日は早いね」
「確認するものが減りましたから」
「減ったんだ」
「ええ」

紙へ目を落とす。
最初の頃は、一つに問題がなくても別のところを見た。次に来てもらうまでのあいだの変化も確かめた。
今は、そのいくつかを省いてよい。

「これまでの経過を見る限り、処置そのものに問題が残っている可能性は、かなり低いと思います」

ロザリンさんが目を瞬いた。
「じゃあ、ちゃんと終わったってこと?」
「そう考えてよさそうです。ただ、今後まったく確認が必要ない、という意味ではありません」
「うん」
「何か変わったことがあれば、そのときは予定を待たずに教えてください」
「分かった」

返事はすぐだった。

もう一度、紙を見る。
次に確認する時期を考える。
数日である必要はない。ここ何回かのあいだに、短い間隔でなければ拾えなかった変化はなかった。

「次は、一週間ほど空けましょう」
「一週間?」
「はい」

ロザリンさんは少しだけ考えて、それから頷いた。

「分かった。じゃあ来週だね」
「ええ。それで十分だと思います」

紙の端へ次回の目安を書き入れる。
書いたものを揃えていると、向かいから声がした。
「よかった」

顔を上げる。
ロザリンさんは笑っていた。

「大きな問題もなかったみたいだし」
「はい」
「妹ちゃん、上手にできたんだね」

話していたのはロザリンさんの経過だったはずだが、ロザリンさんは自分のことを褒められたときより、こちらのことを言ったときの方が嬉しそうに見える。

「わたくしだけで決まることではありませんけれど」
「でも、妹ちゃんがやってくれたんでしょ?」
「施術をしたのは、そうです」
「じゃあ、上手にできた」

ずいぶん簡単に決める。
訂正するほど間違っているわけでもない。

「……そういうことにしておきましょうか」
「うん」

こちらも紙をしまう。

「では、今日はこれで」
「うん。気をつけて帰ってね」
「ありがとうございます」

立ち上がる。

ロザリンさんも立った。

「じゃあ、また来週ね、妹ちゃん」
「はい。また来週」

それで、今日の確認は終わった。